EVETT
鴎亭の路地に佇むEVETTの扉を開けたとき、最初に気づくのは喧騒がないこと。


木とファブリックが織りなす静けさが控えめに空間を満たしていた。


オーストラリア出身のジョセフ・リザーウッドが、韓国という土地に降り立ち、その歴史と発酵文化に魅了されてから数年。
エゴマの葉もゴマ油も、失われつつある野草も、彼の手にかかればすべてが美しい料理へと変わっていた。
2025年版ミシュランガイドで二つ星を獲得したこのレストランは、ソウルで変わり続けることではなく、深まり続けることを選んだような場所に感じた。


まず最初に登場したのは、二つの小さなカップに入ったスープ。温かなスープは優しい味わい。


色とりどりのパンジーの花びらが飾られたスナック。黄色、紫、黒の花びらが印象的で、小枝にぶら下がる姿はまるで庭園を切り取ったかのような美しさ。




串に刺さったキノコをスープにつけていただくスタイル。素材の味が引き立つ、EVETTらしい一皿だった。


韓国の伝統的な味噌玉、メジュを使ったドーナツ。大葉の葉が添えられ、独特の発酵の風味とドーナツの甘さが絶妙なバランス。韓国の伝統と現代料理の融合を感じられた。


アーティチョークを使った料理。石のような質感の器に盛り付けられ、濃厚なソースとともに提供される。アーティチョークの繊細な味わいが、ソースによって一層引き立てられていた。


お造りは、透明なガラスの器に泡状のソースとともに盛り付けられている。ワカメが添えられ、新鮮な魚の甘みと爽やかな香りが口の中に広がる。


白身魚を使った料理。季節の葉野菜とともに盛り付けられ、クリーミーなソースがかけられている。魚の繊細な味わいと野菜の食感、ソースの濃厚さが見事に調和していた。


真っ黒な器に、まるで石のようにも見えるお煎餅をぱりぱりと崩すと中には濃厚なカブのドロっとしたスープ。
シンプルながらも素敵な演出。
身体が温まり美味しい。


メインの鴨肉。美しいロゼ色に焼き上げられた鴨肉は、しっとりとした食感。
赤紫蘇のソースにブラックペッパー添えられ、鴨の旨みを引き立てていた。


釜飯は蓋を開けると湯気とともに香ばしい香りが立ち上り、とても香り高い。


蓮根チップやエゴマの葉、様々な韓国の食材で表現するようにプレートに配置されている。
ソースとご飯に混ぜて、よく合う。


氷の上に盛り付けられた美しいデザート。
柚子の風味が爽やかで、食事の締めくくりにうれしい。


そして苔の上にキノコに見立てたお菓子が配置された、まるで森の中の光景を再現したかのようなデザート。
白いキノコ型のお菓子には赤い水玉模様が施され、実はチョコアイス。
一口でパクッと。アートのようにかわいい。




そして、濃厚な自家製のキャラメル。


コースが佳境を迎えた頃ゲストはキッチンへと招かれた。そこで待っているのは、シェフと並んでマシュマロを焼く魔法のような時間。
やがてそれはシェフの手でソースときなこで繊細に仕上げられ、この小さな参加の瞬間が食事を素晴らしい体験へと変わった。
ホスピタリティも素晴らしい。
驚くことに、フロアを支えるスタッフの多くがフランス人。美食の本場からやってきた彼らが韓国の伝統食材を愛おしそうに説明する姿は、この店のボーダレスな魅力を象徴している。
彼らの接客は型通りのマニュアルのようなものではなく、ゲストを心から楽しませようとするフレンドリーな会話と、最後にはスタッフとグラスを掲げて乾杯。


別れ際には自然とハグを交わす。
極寒のソウルの夜さえも、温かく感じられた時間だった。
Information
EVETT
ソウル特別市 江南区 島山大路45キル 10-5
https://www.restaurantevett.com/









